副業からビジネスを始めて、いずれは会社から独立したい。
多くの人たちにそういう願望があると思います。
会社を辞め、退路を断ち、本気でビジネスに取り組む方法もありますが、生活や家族のことを考えると、普通はなかなかそれを選ぶことはできませんよね?
ですが世の中、何が起きるかわからないもの。
今回、お話を伺った下平さんは、副業にチャレンジを始めた2ヶ月後、勤めていた会社がまさかの倒産。
- 安定的な本業の収入を断たれた後、どうやってピンチを脱したのか?
- その結果、現在はどういう環境が構築されたのか?
きっと、あなたにとって刺激になるお話がここにはあるはずです。
サラリーマンが副業を始めることになったワケ
――まず、副業としてビジネスを始めたキッカケを教えてください。
会社の給料がまったく上がらなかったんですよね。
大学を卒業して、2回ほど転職をし、知人の会社で働くことになったのですが、どれだけがんばって契約を取ってきても、評価されませんでした。
なので、お給料+α が欲しいという感じで、副業でアフィリエイトをスタートすることに。
――実際にやってみた印象はどうでしたか?
始めて2ヶ月ぐらいは鳴かず飛ばずの状態だったのですが、空いた時間を使って、コツコツと取り組んだら、少しずつ報酬が入るようになりました。
それでも、月に2~3万円程度のお小遣いくらいでしたね。
副業を始めてから起こったまさかの出来事とは?
最初のうちはコツコツと取り組んでいた下平さん。
忙しい時間をやりくりしながら、副業という形で、日々の作業にも慣れてきました。
そして少しずつお給料+α が得られ始めたころ、事件は起こったのだそうです。
朝、会社に出勤したら、いつもと様子が違うんですよね。
なんか、ビシっとスーツを着た人が何人かいて、帳簿やパソコンをチェックしてたんです。
事務員に「何かあったの?」って聞いたら、「今日で会社潰れるらしいです」って・・・。
その言葉を聞いた時は愕然としましたね。
「その月の給料は遅れる可能性が高い、満額支払われるかも定かではない」とのこと。
会社の倒産によって失ったもの
あまり胸を張れることでもないのですが、実は当時、消費者金融の借金もあったんです。
「カードの支払いや生活費を、どうやって工面したらいいんだろうか」とか、いろんなことを考えてしまって・・・。
幸いなことに、その月のお給料はいつも通り満額が振り込まれていて、失業保険も翌月から給付が可能になるというカタチで、どうにか一命は取りとめました。
ただ、お給料+αという、欲しかった環境が完全になくなってしまったんですよね。
なぜ、バイマだったのか?
――大変な経験です。その後は、どういう経緯でバイマを始めたのですか?
その時に、初めてバイマを知りました。
在庫を持たなくても良い、注文が入ってからの買い付けで始められる物販があると。
手元には、残り利用枠の乏しいクレジットカードが1枚しかなかったのですが、初期費用を必要としない物販というビジネスモデルに魅力を感じ、チャレンジを決意しました。
まったくのゼロからバイマをスタート
――バイマを始めた初期の頃は、どんな風に取り組んだんですか?
仕事も無くなったので、もう後がない状態でしたからね。
2ヶ月間で成果が出なければ就職活動をおこなうと決めて、1日のほとんどを作業の時間に費やしました。
大袈裟ではなく、会社に通ってるつもりで、1日8~10時間は作業をしていたと思います。
- どんなアイテムが売れているのか?
- それはなぜ、売れているのか?
- どうやればライバルより高く売れるか?
- どこで仕入れをすれば一番安くなるか?
- 他に安く仕入れる方法はないのか?
調べる時間と手を動かす時間を分けて、やることを決めた上で作業分担をしていきました。
午前中は何も考えずに出品作業を淡々とこなし、お昼から夕方にかけて商品リサーチをおこない、夜はまた出品作業をする。
そんなサイクルで取り組んでいました。
バイマで手ごたえを掴んだキッカケとは?
――後が無い状態で、よくそこまで冷静になれましたね。
いえ、冷静ではなかったです。(笑)
じっとしてると、余計なことを考えてパニックになってしまいそうだったので、とにかく何かに集中していないとダメな状況でした。
「とにかく目の前の作業に集中しよう!」って、強引に思い込んでいた日々です。
少しずつ自分のビジネスが動いていく実感
――その結果、注文が入るようになったのはいつ頃からでしたか?
始めて3週間ぐらいだったと記憶しています。
初めての注文が入って、それがたまたま同じ人が2個の商品を買ってくれたんです。
それで「これはイケる!」ってなって、さらに作業に取り組む時間が増えていきました。
思うように進められないジレンマ
ただ当時は、クレジットカードの枠が乏しかったので大変だったんです。
デビットカードを作って、売上金をすぐ仕入れに回したり、クレジットカード会社に電話をして、繰り上げ支払いの仕方を聞いたり・・・。
注文が入っているのに、カードの枠が無くて、本当にいろいろなことを考えさせられた日々でした。
副業で始めたバイマで独立が見えてきた
――ずいぶんと厳しい状態で副業をされていたんですね。
後がなかったですからね。やるしかなかったというのが本音です。
でも、本当に思いましたよ。「必死になったら何でもできる」って。
結果、2ヶ月後に利益を計算したら、1ヶ月22万円になっていたんです。会社のお給料とほぼ同額でした。
それで、「バイマを続けて行こう!」っていう決心がつきました。
しかし、独立を目の前にしてまた事件が起こる
――現在は、バイマ一本でお仕事をされているんですか?
いえ、どうにかこうにか、月に30万円程度が平均で稼げるようになった時に、同居していた母親から「外に働きに出ろ!」って言われちゃったんですよね。(汗)
「30歳過ぎた男が仕事もしないで、部屋でパソコンなんかカタカタやってんじゃない!」って。
いろいろと説明をしたのですが、アナログ人間の母には理解ができなかったみたいで・・・。
新しく始めた仕事
家を出る選択肢もあったのですが、母親を独りにさせるのも良くないと思って、週に2~3日、介護施設の夜勤で働くことになりました。
これからの時代、介護は絶対に必要になってくるし、資格も取れますからね。
バイマの作業にもある程度、慣れてきて、だいぶコツも掴めて、作業時間もこれまでの半分ぐらいでできるようになっていたので、このダブルワークはそこまで苦ではありませんでした。
介護士とバイマのダブルワークで安定した収入
――差し支えない程度で良いので、現在の収益なども教えていただけますか?
現在の収入は、良い時で月に70万円程度、良くない時で月に25万円ぐらいですね。
年間を通すと、月平均40~50万円+ 介護のお給料13~15万円という感じです。
昨年末に1回だけ、大台の利益100万円も達成しました。
夜勤中、とくにトラブルとかがなければ、問い合わせの対応などはタブレットでできるので、上手に工夫をするようにしています。
そういえば、介護の仕事を始めたことで、新しくクレジットカードを作れるようになったんです。バイマで個人事業の申請をしたことでも、信用が得られたのかもしれませんが。
これは大きかったです。カードの利用枠の問題で買い付けができない、なんてことも現在はなくなりましたから。
バイマで何を売って利益を上げているのか?
――では、言える範囲で結構なのですが、どんなアイテム取り扱っているのか?お話していただけますか?
普通ですよ。誰にでも扱えるモノで、簡単に買い付けできるアイテムがほとんどです。
スニーカーとか、Tシャツとか、パーカー系はよく売れていますね。
バイマの人気ブランドランキングには、あまりこだわっていません。
ランキングに掲載されていないブランドでも、普通に売れるモノが多々あるので、ライバルがあまりいない商品を多く取り扱うようにしていますね。
少しずつ自分のスタイルを構築
――売上を伸ばすコツのようなモノはありますか?
そうですね、バイマは基本、無在庫でスタートできるビジネスですが、ある程度、利益が得られるようになってからは、積極的に在庫を確保するようにしました。
注文が入ってからの買い付けだと、お客さんにお届けするまでけっこうな時間がかかるんですよね。
在庫を持っていれば「スピード配送」のタグも付けられるし、翌日には購入者の手元へお届けができるので、多少、値段が高くても選んでもらえる可能性が高くなります。
あえて在庫を持つことのメリット
――でも、在庫を持つって怖いんじゃないですか?
たしかに、初期に在庫リスクを抱えるのは不安ですし、赤字や売れ残りの怖さも感じますが、得られた利益を使って、在庫を確保しているので、そこまでのリスクは感じていません。
その怖さを超えてから、在庫を持つことへのためらいがなくなりました。
実際、取引の幅が広がりますし、多少、価格が高くても買ってくれるので、利益を伸ばすことにつながっています。
自分の理想の環境が手に入った
――お話を伺っていて気付いたのですが、現在は当初の目的だった環境が手に入った、ということになりますよね?
そうですね。当初考えていた環境とは比率が逆(副業の方が収入が多い)ですが、叶っちゃってますね。
・・・今、気付きました。(笑)
ダブルワークなので安心感は全然違いますし、社会との関わりも保てていて、現在は僕にとって理想の環境かもしれませんね。
自分で選んで、自分で決めた「働き方改革」
もちろん、介護は人のお世話をするお仕事なので楽ではないですが、人の役に立っているということを自覚できるので、やりがいを感じます。
それに、介護職はお給料が安いって問題になっていますが、自分にはあまりその辺りが苦になっていませんから。
「外で働け!」って言ってくれた母には、今では感謝しています。
正直、当時は「うっさいなあ」って思っていましたが。(笑)
副業でも本業でもない「兼業」というカタチ
――そういう自分の理想の環境をつくることができた要因には、何があると思いますか?
そうですね。ありきたりですが、一生懸命になることでしょうか。
僕の場合は、自分では思いもしなかったカタチで退路が断たれてしまったので、必死になるしかありませんでした。
今、振り返っても人生で一番、努力した時間だと言えます。
そして、できれば1人にならないことも大事だと思います。
愚痴や悩みを聞いてもらえる大切さ
僕は会社が潰れた時、幸運にも相談する相手がいました。
その人がメンタル面のケアや、ビジネスに打ち込む上で必要なこと、いろいろとアドバイスしてくれたんです。
時に電話をくれて、「サボってないか!?」って進捗確認をしてくれたり。
1人で作業をしていると、時にどうしようもなく不安になったり、何をしても気分が乗らない時ってあるんですよね。
自分1人じゃない環境のおかげで、続けられていると言っても過言ではありません。
今後の展望や目標について
――本当に大変だった時期を乗り越えて、現在があると思うのですが、今後のビジネスにおける展望とかはありますか?
それが、、、特にないんですよね。(笑)
けっこう現状に満足していますから。
もちろん、現状を維持することが大事で、そのために必要なことは絶対にやりますけど、会社を作って、もっとビジネスを大きくしたいとかの願望は無いんですよね。
今はマイペースで自分らしくありたいというのが本音でしょうか。
だって、けっこう大変な事件を乗り越えたわけですから、「今はそれくらいでいいかな」なんて思っています。
これまで経験してきたことは、他に代え難いものとして、自分の自信にもなっているので、やる気になったら何でもできそうな気がしますし。(笑)